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粟津 號's Poem

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 ひとり舞台「お寺さんの話」より 

  

 お寺が気味わるいのは…… 

            粟津 祐教 (ゆうきょう) 

 

貴栄山・円應寺
六百年の歳月を十八人が継いできた
その昔「男鹿本山」と呼ばれたという
長男として俺は生まれた
十九世住職となるべきものと

十七世・祐智は医者になるのをあきらめた
十八世父・祐逸は新聞記者をあきらめて住職になり
昨日死んだ
俺は今 売りだしたばかりの俳優
十九世を継ぐのだろうか?  役者はどうする?

六百年
一、二、三、四……十九代
中途半端な青春 欺瞞の歴史
坊主丸儲けと人は云う

お寺が気味わるいのはなぜか知ってるかい?
墓が立ち並んでいるからじゃない
幽霊が出そうだからじゃない
十九個のなかの
半端に放りだされた かよわい魂が浮かばれずに
医者や記者、役者になりたがって
今もフラフラしているからだよ

                             〈1973年/28歳のときに〉  

   

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